ナショナルサイクルルートとは
すぐれた観光資源と走行環境、サイクリスト向けの受入環境などを一体的に整備したサイクリングルートのうち、一定の基準を満たすルートを国が指定する制度である。
本制度は、自転車活用推進法に基づく自転車活用推進計画の施策の一つとして創設された。国が世界に誇るサイクリングルートとして国内外へ発信することで、サイクルツーリズムの推進や地域活性化を図ることを目的としている。
■ナショナルサイクルルートの指定要件
指定を受けるには、次の5つの観点で国が定める水準を満たしていることが求められる。
【指定要件】
・ルート設定(概ね100km以上の広域ルート)
・走行環境(走行の安全性・快適性の確保)
・受入環境(宿泊施設の確保・休憩施設の整備状況など)
・情報発信(SNSやHP、パンフレットなどを用いた多言語対応の発信)
・取組体制(継続的に維持・管理できる組織体制)
■走行環境整備で求められるもの
(1)安全で快適な走行空間の確保
誰もが安全で快適に走行できる環境が求められる。
【主な内容】
・自転車専用道路の整備
・自転車専用通行帯の整備
・路肩幅員の確保
・路面状態の維持管理
・危険箇所の改善
・交通安全対策(注意喚起表示の設置など)
(2)案内サインや路面標示の整備
利用者が安心して走行できるよう、統一された案内環境の整備が求められる。
特に広域ルートでは、複数の自治体にまたがるため、ルート全体で統一された案内表示を整備することが、利用者の利便性の確保につながる。
【主な内容】
・ルート案内標識
・目的地案内サイン
・距離表示
・路面標示(ブルーラインなど)
■受入環境整備で求められるもの
ナショナルサイクルルートは、サイクルツーリズムの推進を目的としているため、走行環境だけでなく、休憩・宿泊・修理・緊急対応などの受入環境の整備状況も重視される。
(1)ゲートウェイ機能の整備
駅や空港、道の駅など、公共交通機関との接続拠点となるゲートウェイを整備すること。
(2)サイクルステーション(休憩施設)の整備
トイレ・休憩スペース・給水設備・空気入れ・サイクルラックなどの設備を備えた施設を概ね20㎞ごとに整備すること。
(3)サイクリスト向けの宿泊施設
屋内での自転車保管や洗濯設備など、サイクリスト向けの機能を備えた宿泊施設を概ね60kmごとに確保すること。
(4)緊急時や故障時のサポート体制
医療機関との連携や、自転車修理サービスなどの長距離走行時のトラブルに対応するサポート体制を確保していること。
■ナショナルサイクルルートの指定事例
現在6つのルートが指定されており、いずれのルートも安全な走行環境や充実した受入環境を備えている。
(出典:内閣府 特集 自転車の安全利用の促進について)
■まとめ
ナショナルサイクルルートとは、世界水準のサイクルツーリズム環境を備えたルートを国が指定する制度である。
指定を受けるためには、安全で快適な走行環境だけでなく、休憩施設や宿泊施設、修理サービスなどの受入環境も整備しなければならない。
そのため、ナショナルサイクルルートは単なる自転車道ではなく、地域全体でサイクリストを受け入れるための総合的な観光インフラといえる。

