個別VC支援とは
環境省が実施する「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」において、企業が取引先と連携し、温室効果ガス排出量の削減に取り組む際に受けられる伴走支援である。
申請企業が主体となって取引先への働きかけを行い、環境省の委託を受けた事務局が専門的な助言やツールの提供などを行う。
※VCとは
「Value Chain(バリューチェーン)」の略で、原材料の調達から製造、輸送、販売、使用、廃棄まで、製品やサービスを生み出す一連の活動を指す。
■個別VC支援の主な支援内容
個別VC支援では、取引先への働きかけから排出量算定、削減計画の作成まで、バリューチェーン全体の脱炭素化に必要な取組について支援が受けられる。
(1)取引先へのエンゲージメント方針の検討
取引先に排出量の把握や削減を進めてもらうため、働きかけの目的や対象、方法などを検討する。
(検討例)
・取引先へ働きかける目的や内容の整理
・対象となる取引先の選定
・社内の関係部署との連携体制の構築
・取引先が参加するメリットの検討など
(2)排出量算定と一次データ取得の支援
申請企業が行う、取引先の排出量算定支援や一次データ取得の取組に対して、事務局が専門的な助言や必要に応じたツールの提供を行う。
また、取得するデータの範囲や、企業間での共有・連携方法についても助言が受けられる。
※一次データとは
取引先の燃料使用量や電力使用量などの実測値に基づいて算定された排出量データのこと。
(3)削減目標・削減計画の作成支援
算定結果を基に、排出量が多く優先的な削減が必要となる材料、製品、工程などの「削減ホットスポット」を特定する。
そのうえで、取引先と連携しながら、削減目標や具体的な削減計画を作成する。
(4)新たな脱炭素施策の検討
照明や空調設備の更新といった従来の省エネ対策だけでなく、材料や部品、製造工程、業務プロセスそのものを見直すことも検討する。
(検討例)
・再生可能エネルギーの共同購入
・低炭素な材料や部品への切替え
・再生材や副産物の利用など
(5)デジタル技術を活用した効率化
多数の取引先から排出量データを収集する場合、依頼、入力、確認、集計などの作業が大きな負担となる。
そのため、クラウドサービスやAIなどのデジタル技術を活用し、Scope3の算定や一次データ取得の効率化・自動化を検討する。
■建設業が個別VC支援に取り組むメリット
建設業では、建設会社が建材メーカー、専門工事会社、運送会社などと連携し、建材の製造や資材輸送、施工に伴う排出量を把握する取組が考えられる。
個別VC支援に取り組むことで得られる主なメリットは次のとおりである。
【主なメリット】
・建材や設備の製造に伴うScope3の排出量を把握できる
・取引先から一次データを収集する方法を確立できる
・排出量の多い材料や工程を特定できる
・取引先と具体的な削減目標や削減計画を作成できる
・低炭素建材の調達や施工方法の改善を進めやすくなる
・脱炭素に関する発注者や取引先からの要請に対応しやすくなる
・排出量の情報開示や中長期的な脱炭素計画の策定に役立つ
■まとめ
個別VC支援は、申請企業が取引先と連携し、排出量の算定から削減計画の具体化までを進める取組を、事務局が伴走支援するモデル事業である。
建設事業には多くの企業が関わるため、1社だけでScope3の排出量を削減することは難しい。
個別VC支援は、こうした企業が連携して、バリューチェーン全体の脱炭素化を進める際に活用できる。

