MABR(膜曝気型バイオフィルム法)とは?
ガス透過膜を介して酸素を供給し、その膜表面に形成された生物膜(バイオフィルム)によって排水を処理する生物処理技術である。
【MABRの由来】
・Membrane …膜
・Aerated … 通気された
・Biofilm…バイオフィルム
・Reactor…反応器
■MABRの原理と仕組み
(1)膜曝気による酸素供給
MABRでは、中空糸膜や平膜などのガス透過膜の内側(ガス側)に空気または酸素を供給する。
酸素は膜を通してゆっくりと拡散し、膜外側(水側)の生物膜へ直接供給される。
(2)生物膜(バイオフィルム)による処理
膜表面には微生物が付着し、生物膜(バイオフィルム)を形成する。
この生物膜が、有機物やアンモニア性窒素などの汚濁成分を分解・除去する。
(3)同時硝化・脱窒
生物膜内では、膜の内側(ガス側)が好気的環境、膜の外側(水側)が低酸素~嫌気的環境となる酸素勾配が自然に形成される。
このため、単一のリアクター内で、膜の内側では硝化反応が進行し、膜の外側では脱窒反応が進行する。
結果として、高い窒素除去率が期待できる。
■従来の活性汚泥法との違い
MABRは、活性汚泥法に比べ、高い省エネ効果が期待できる。
(1)曝気に必要な動力を削減できる
膜の内側に酸素を送る構造であるため、従来の散気曝気のように水深による静水圧の影響を受けにくい。
そのため、送風レベルの低い動力での運転が可能である。
(2)酸素利用効率が高い
従来法では、酸素の一部が溶解せずに失われるため、効率面に限界があった。
MABRは膜を介して酸素を直接供給できるため、従来法に比べて酸素利用効率が極めて高い。
MABRは、膜技術と生物膜法を融合した水処理技術であり、曝気エネルギー削減、汚泥低減、温室効果ガス(N₂O)抑制といった多くの利点を有する。
既存施設を活かしながら導入できるメリットもあり、今後の水処理分野において重要な役割を担う技術である。

