教育訓練休暇給付金とは?
労働者が教育訓練を受けるために30日以上の無給休暇を自発的に取得した場合に、賃金の一定割合が支給される制度である。
本制度は、2025年10月1日から施行される。
■メリットと活用ポイント
労働者は離職せずに安心してスキルアップに専念できるため、活用には次のメリットがある。
【個人側のメリット】
・キャリア形成
・強みになるスキルの獲得
【企業側のメリット】
・生産性や競争力の強化
■支給対象となるもの
本制度を活用するには、就業規則に本制度が整備されていること、労働者と事業主双方の合意とハローワークへの申請が必要である。
(1)支給対象となる休暇について
・労働協約や就業規則に定められた教育訓練休暇制度に基づくこと
・労働者本人が自発的に希望し、事業主の承認を得て取得すること
・30日以上の無給休暇であること
(2)対象者
・雇用保険の一般被保険者であり、被保険者期間が原則5年以上であること
・休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
【受給要件の特例】
・疾病・負傷・出産などで30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合
休暇開始前の期間のうち、最大4年間に遡って被保険者期間が12か月以上あること
・離職してから1年以内で失業手当を受給していない場合
離職前と再就職後の加入期間を通算できる。
(3)講座
さまざまな教育訓練機関が講座を実施しているため、幅広い分野の中から選ぶことができる。
【対象】
・学校教育法に基づく大学・大学院・短大・高専・専修学校・各種学校への就学
・厚生労働大臣指定の教育訓練給付対象講座
・職業安定局長が定める職業関連訓練(司法修習、語学留学、海外大学院での修士取得など)
【例】
ITパスポート、Webクリエイター、介護福祉士、保育士、建築士、電気工事士、Microsoft Office Specialist(MOS)、TOEICなど
■給付額・給付日数
(1)給付額
年齢によって上限・下限が設けられており、失業手当と同様に賃金日額の50〜80%が基準となる。
(2)給付日数
被保険者期間に応じて90日・120日・150日のいずれかとなる。
本制度は、デジタル化や少子高齢化といった社会変化に対応し、労働者が主体的にスキルを磨き、キャリア形成を進めることを支援する仕組みである。
キャリアアップに向けた学びを後押しする有効な選択肢として活用が期待されている。
