健康経営優良法人とは?
従業員の健康づくりに積極的に取り組み、その実績が評価された法人を指す。
建設業は、従業員の健康確保が企業の存続に直結するため、健康経営優良法人の認定企業数が多い業種の一つである。
本評価制度は、「健康管理の見える化」と「社会的評価の確立」を目的に、2016年度に創設され、2025年度の認定企業数は23,196法人となっている。
■認定を受けるメリット・デメリット
(1)メリット
・職場環境の改善と生産性向上
健康診断・ストレスチェック・生活習慣改善施策などを通じて、従業員の健康状態やモチベーションが高まり、業務効率の向上につながる。
・採用力・ブランド力の強化
「従業員を大切にする企業」という証明となり、若手人材や経験者採用において有利に働く。
公式ロゴの使用による広報効果も期待できる。
・入札での加点
公共工事や自治体発注案件での加点対象となる地域が増えており、受注拡大に直結する。
・補助金・金融・保険での優遇
一部の補助金申請で加点が得られるほか、保険料割引や金利優遇を提供する金融機関も存在すため、経営基盤の安定に寄与する。
(2)デメリット
・コスト
申請料は大規模法人で88,000円、中小規模法人で16,500円(税込)。
さらに施策の実施や外部専門家の活用に費用が発生する。
・手間・時間
申請手続きやエビデンス資料の作成には担当者の労力が必要である。
・従業員の反発リスク
禁煙施策や受診義務化などが一部の従業員に不満をもたらす可能性もあるため、バランスの取れた施策設計が求められる。
このように、健康経営優良法人は、企業の社会的責任を果たしつつ、経営戦略としても大きな成果をもたらす制度である。
今後は経営戦略の一環として健康管理を重視する企業がさらに増加すると予想される。
