マンションストック長寿命化等モデル事業とは?
老朽化が進むマンションの長寿命化・再生・管理適正化を目的としている制度である。
本制度は、国土交通省が実施しており、補助対象となった取組は「モデル事業」として位置づけられ、採択後に成果が全国に共有される。
令和6年度の採択実績は、応募件数30件に対して17件であり、そのうちの12件が事業前の立ち上げ準備段階の支援である。
■補助内容と事業タイプ
事業タイプは①先導的再生モデルタイプと②管理適正化モデルタイプの2種類に分けられ、それぞれ事業前の立ち上げ準備段階(=計画支援)と事業実施段階(=工事支援)で支援が受けられる。
① 先導的再生モデルタイプ
先進的な工法や新しい材料を活用して、長寿命化改修や合理的な建て替えを行う。
【補助内容】
計画支援:改修や建て替えに向けた調査・検討費用を補助
工事支援:改修工事や建て替え工事費用の一部を補助
② 管理適正化モデルタイプ
管理水準が低く、修繕や合意形成が困難なマンションを対象とする。
地方公共団体と連携して管理改善を進めることが前提となる。
【補助内容】
計画支援:管理改善に必要な調査・検討費用を補助
工事支援:大規模修繕工事や改修工事費用の一部を補助
■補助対象と補助率
支援段階に応じて、補助対象者や補助率が定められている。
・計画支援
補助事業者:管理会社、マンション再生コンサル、設計事務所など
補助率:上限500万円/年(最大3年間)
特例として必要性が認められれば1,500万円まで上限引き上げ可能。
・工事支援
補助事業者:買取再販業者、施工業者など
補助率:対象経費の1/3を補助
採択は有識者委員会による審査を経て行われ、精査の上で交付額が確定する。
国の他の補助金との併用は不可であり、消費税は補助対象外である。
■審査・評価のポイント
有識者委員会による審査では、次の観点が重視される。
・政策目的への合致(長寿命化、防災、省エネ、多様なニーズへの対応)
・独自性・創意工夫(新技術や合理的な手法の導入)
・合意形成の工夫(住民負担の軽減や円滑な意思決定プロセス)
・維持管理の持続性(修繕周期の延伸やライフサイクルコストの低減)
・地方公共団体との連携状況
このように、日本の分譲マンションの老朽化に備え、安全で快適な住環境を維持するためには、マンションの長寿命化や管理適正化が不可欠であり、本事業は老朽化マンション対策の要となる制度である。
