ゾーン30プラスとは?
生活道路における交通事故を防ぐことを目的とした取り組みである。
本取り組みは、速度規制だけでなく、物理的な安全対策や地域の合意形成を重視する点に特徴がある。
■ゾーン30プラスの安全対策
ゾーン30プラスでは、歩行者の安全確保を目的に以下の3つの柱を軸に対策を講じ、生活道路を歩行者優先の安全空間へと整備する。
(1)速度を低減させる
通過車両の速度を30km/h以下に抑えるため、道路上にハンプ(隆起)や狭さくなどのデバイスを設ける。
(2)注意喚起する
交差点手前や進入口でドライバーに対し、減速を促す路面表示や標識で注意喚起を行う。
(3)歩行者を守る
歩道への車両の進入を防ぐため、防護柵や耐衝撃性ボラードなどの構造物を活用し、歩行者空間を明確に区切る。
■速度を低減させるデバイス
ゾーン30プラスを構成する物理的デバイスは6種類あり、地域の交通環境に応じて適切なものが設置される。
【物理的デバイス】
・ハンプ:路面に設けられた隆起部で、車両の速度を物理的に抑制する
・スムーズ横断歩道:ハンプと横断歩道が一体化したデバイスで、速度抑制と歩行者保護を両立する
・狭さく(きょうさく):道幅を意図的に狭くし、スピードを出しにくくする
・クランク/スラローム:道路形状を曲げて直進性を排除し、速度を落とさせる
・ライジングボラード:許可車両以外の通行を物理的に制限できる昇降式ポール
■ゾーン30プラス導入のメリットと支援制度
(1)主なメリット
30km/h超で走行する車両の割合が減少し、横断歩道での停止・減速率が向上することで、
事故件数が減少し、歩行者の安全性が高まる。
(2)支援制度
導入には国から技術面・財政面の支援を受けることができる。
①技術支援
・ETC2.0プローブ情報を用いた走行分析
・可搬型ハンプの貸し出し
・物理的デバイスの設計・施工に関する資料やガイドラインの提供
②財政支援
交通安全対策補助(地区内連携)制度等による補助が受けられる。
(例)看板・路面標示、防護柵、カラー舗装
このように、ゾーン30プラスは、まちづくりにおいて誰もが安心して暮らせる交通環境を実現する有効な手段である。
令和7年3月末時点で263地区において整備計画が策定・進行中であり、今後も新しい地区への支援が継続される見込みである。
