潜函技能者とは?
ケーソン工法などによる水中構造物の基礎工事において、加圧された密閉空間(潜函)での作業を担う専門技能者である。
■潜函技能者の仕事内容・作業環境について
仕事内容:橋梁・港湾・ダムなどの基礎工事
作業環境:水底や高気圧環境といった特殊な条件下
危険度の高い環境下で作業を行うため、潜函技能者には次の能力が求められる。
・専門的な技能と知識
・チームマネジメント能力
・作業環境が人体へ与える影響(高気圧障害や酸素欠乏など)を考慮した安全管理
■潜函技能者の能力とキャリアアップ制度
令和7年7月より潜函技能者は、キャリアアップ制度(CCUS)の能力評価の対象分野に追加され、他の分野と同様に、次の4段階で能力が評価される。
(出典:国土交通省 能力評価基準(潜函))
■登録潜函基幹技能者について
建設キャリアアップシステム(CCUS)における最上位に位置付けられている資格であり、資格取得は職長としての地位向上と現場管理能力の証明となる。
(1)主な役割
・元請技術者への施工方法の提案や調整
・前工程・後工程を担当する他の職長等との連絡調整
・作業手順の構成と技能者の適正配置
・一般技能者への指示・指導
(2)受講・受験資格要件
登録潜函基幹技能者を取得するためには、日本圧気技術協会の講習を修了し、試験に合格しなければならない。
受講・受験資格要件には、次の厳格な実務経験と保有資格が定められている。
【実務経験】
・10年以上の潜函工事に関する実務経験
・3年以上の職長経験
【資格要件】次のイ・ロいずれかの条件に該当する者
イ)優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)を有する者
ロ)次の①②すべてを満たす者
①以下の4資格すべてを保有していること
・高圧室内作業主任者(免許)
・酸素欠乏危険作業主任者(技能講習)
・職長・安全衛生責任者教育
・玉掛作業技能講習
②以下のうち、いずれか1資格を有すること
・発破技士(免許)
・足場の組み立て等作業主任者(技能講習)
登録潜函基幹技能者は、単なる作業者ではなく、現場の安全・品質・工程を統括するリーダーとして期待される存在である。
本資格保有者の配置は、経営事項審査での加点や総合評価落札方式での加点など、評価される場面が増えており、今後その価値がますます高まることが予想される。
