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地下式雨水浸透貯留システムとは?


戸田建設株式会社と日本ヒューム株式会社が共同で開発したシステムで、雨水を地下に一時的に貯留するとともに、その一部を地盤へ浸透させる(=地下水の涵養)機能を備えた施設である。

従来法(プレキャストコンクリート工法)は、雨水を一時的に蓄える機能に優れている一方で、貯留された雨水を最終的に河川へ放流するため、地下水の涵養や再利用といった観点で課題があった。
本システムは、これらの課題の解決と同時に施設のコンパクト化を実現している。


■地下式雨水浸透貯留システムの構造と仕組み

逆流防止弁付きの「有孔中空円管(PHC杭等)」で側壁や柱を構成し、その内部に雨水を貯留しながら、周辺地盤への自然浸透を促す。
中空円管内部に貯留した雨水は、地上部(植栽・舗装等)への散水用途としても利用できるようになっており、これらの浸透・利水機能は、加負圧ポンプと配管設備によって強化が図られている。

■地下式雨水浸透貯留システムの特長
雨水浸透貯留施設の施設規模を10,000㎥と仮定した場合の効果は次のとおりである。

1. 環境面の効果
・貯留水の約10%に相当する1,000m³を地盤へ浸透させるため、地下水資源の確保や、河川の水位維持などに資する。
・柱構造内に貯留した雨水の地上利用により、都市景観の維持やヒートアイランド現象の対策にも貢献できる。

2. 施設規模の縮小化
 有孔中空円管内で雨水を貯留・地盤へ浸透が可能であるため、従来比の約21%の縮小が実現する。

3. 建設コストの削減
 施工時に中空円管を仮設土留め材として兼用するため、仮設工事費の削減ができる。
(従来法と比べ、約18%削減。施設規模を21%縮小した場合には、最大約40%の工事費削減が見込まれる。)

4. 工期の短縮
 仮設兼用による施工の効率化により、同規模施設における従来工法と比較して工期を約25%短縮できる。
(施設規模を21%縮小した場合には、最大約40%の工期短縮が可能となる。)


地下式雨水浸透貯留システムは、環境保全・経済性・施工性の3点を高水準で両立した革新的技術である。都市における、水循環の健全化と持続可能なまちづくりを支える基盤技術としての役割が期待される。


  

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