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#057 クラウディングアウトへの反論

2024年11月5日(火)配信


前回のメルマガで、公共土木が民間建築を押し退けてしまう
「クラウディングアウト」の概要を書きましたが、
ではなぜ財務省はクラウディングアウトを言い出したかです。


ま、難しい話じゃなく簡単に予算抑制ですよね。
土木が建築を押し退けるってことは、公共工事を増やし過ぎると
民間工事が成り立たないってことなので、公共事業費を増やさない方が
いいって理屈です。分かりやすいですね。


いまは国土強靭化が国策だし、公共事業費も十数年前のように
抑制の雰囲気はなく、公共工事設計労務単価も10年間以上も
引上げになってるから、財務省としてはどうにかしたいって
事なんでしょうね。このままじゃ予算が増える一方だと。


クラウディングアウトの前にも財務省は「施工余力」って
議論を持ち出してました。「公共事業予算は増えてるけど、
建設業界は人手不足なんでしょ?増えた予算分だけ仕事をこなせるの?
そもそもそんなに予算要らなくない?」みたいなやつです。


財務省って要するに予算を削るのが仕事でしょうから、
いろんな理屈を持ち出して予算削減に繋げたいんでしょうが、
しかしまあ、日本で一番頭がいい方たちなんでしょうが、
ホント次から次とよく考えるもんだと思います。


で、クラウディングアウトには当然建設業界は反論してます。


まず国交省は、
「公共で主体となる土木工事、民間で主体となる建築工事では、
必要な技術、資格、技術基準などの体系が異なるため
事実上すみ分けされており、公共工事が民間工事に悪影響を及ぼす
クラウディングアウトの議論は当てはまらない」


土木と建築じゃ、工事をする人や会社が違うんだよ、って理屈ですね。


大手ゼネコン団体の日本建設業連合会は、
「将来的な見通しを持った上で計画的に発注してもらえば
今後とも十分な施工体制を確保することは可能」


土木だろうが建築だろうが、前もって言ってくれれば
(かつ計画的なら)工事はできるよ、と。


中小建設会社の団体である全国中小建設業協会は、
「主に自治体発注工事で、むしろ発注が少なく施工余力が余っている」


いやいや財務省が言うほど公共工事は発注されてないよ、
って言ってます。


専門工事会社の団体である建設産業専門団体連合会は、
「まずは職人を暇にさせない工事量の確保を」


下請の職人の会社からすれば、
そんな大層なことより目の前の仕事を受注するにの必死なんだよ、
って言ってる感じですね。


財務省が持ち出したクラウディングアウトですが、今のこの時勢では、
異常気象や大地震でインフラ整備に世間の目が向いているし、
普通に考えても議論が拡がるとは思えないですね。


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