技術提案・交渉方式とは?
仕様の確定が困難な公共工事において、施工者に技術提案を募集し、最も優れた提案を選択する方法である。仕様や価格などについては、選定した施工者と交渉し、確定する。この方式は、2014年6月に公布され、即日施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」(平成26年法律第56号)において、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17 年法律第18号)第18条「技術提案の審査及び価格等の交渉による方式(=技術提案・交渉方式)」に規定されている。
■技術提案・交渉方式のメリット
従来の方式では対応が難しい複雑な工事に対して、より効果的な調達を可能にする手法で、具体的なメリットは次のとおりである。
①施工者から出された提案の中から、最適な方法を選ぶことができる
②必要に応じて追加調査や協議を行い、仕様などを決定するため、施工者が参入しやすい。
③入札不調の可能性を下げることができる
■技術提案・交渉方式の契約タイプ
契約方式は仕様の前提条件が確定または不確定により2種類に分かれる。
1.設計・施工一括発注方式
2.設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)
ECI方式は、さらに施工者による設計の必要性の有無によって2つのタイプに分かれる。
・技術協力・施工タイプ
・設計交渉・施工タイプ
それぞれの契約タイプの特徴は次のとおりである。
①設計・施工一括タイプ
仕様の前提条件が確定しているケースに適用。
発注者は選定した施工者と価格等の交渉を行い、設計及び施工の契約を締結する。
②技術協力・施工タイプ
仕様の前提条件が確定できないケースや発注者が最適な仕様を確定できないケースに適用。発注者が設計に関与したい場合に選択される傾向がある。
発注者は技術提案を基に施工者を選定し、技術協力の契約を結ぶ。その技術内容を設計に反映させたうえで、価格交渉を行い、施工の契約を締結する。
③設計交渉・施工タイプ
仕様の前提条件が確定できないケースや発注者が最適な仕様を確定できないケースで、施工者自らが設計する必要がある場合に適用する。
より早期から施工者の関与が必要な場合に選択される傾向がある。
設計者と施工者の技術協力体制を構築し、設計の検討段階から施工の観点で協議し、価格等の交渉を進め、契約を締結する。