2025年8月22日(金)配信
建設業はこんなに人手不足なんだし、そそろそ職人の派遣を解禁したらどうなのか?
国内の大手ゼネコンで構成される日本建設業連合会(日建連)が、先月7月に公表した「建設業の長期ビジョン2.0」の中でそう言ってます。
▶建設業の職人派遣、もう解禁したらどう?
日本建設業連合会「長期ビジョン2.0」コラムより
https://www.rise-jms.jp/media/kensetsu_news/a1326長期ビジョンは、日建連が「これからはこういう方向性でいきます」って事を書いてるんですが、職人派遣解禁は法律上の話であって日建連がどうこうできる事でもないので、文中のコラムとして要望的な形になっています。
その冒頭では、
「建設業で労働者派遣事業が禁止されているのは、重層下請構造において悪質業者による中間搾取のおそれが高いこと等が理由であるが、果たして今後も妥当性をもつのだろうか。」
とあります。要するに「派遣禁止の主な理由は人夫出しピンハネ業を防ぐのが目的だと思うが果たしてこれからもそれが続くのだろうか」と。
続けてこう書いてます。
「近年は、働く人の意識も多様化してきて、所属にしばられない働き方を望む人も少なくない。実際、建設現場では、技能労働者の派遣は禁止されている一方で、禁止対象ではない施工管理員の多くは派遣で担われている。」
今の時代、これだけ働き方が多様化しているのに、施工管理(監督)は派遣OKで何故職人だけ禁止なのか?施工管理の派遣はこんなにたくさんいるのに、と。
また職人の賃金については、
「技能労働者の処遇については、これまで官民を挙げた取組みにより、ここ11年で平均20%程度上昇するなど相当程度改善が進んでいる。さらに、労務費の基準が策定されれば、CCUSの技能レベルに応じた賃金の支払いが徹底されていくこととなるであろう。」
と書いてますが「労務費の基準」とは「標準労務費」のことでしょう。今後はCCUSの技能レベルにリンクした賃金の支払いが実質的に強制される訳だから、もう中間搾取とかピンハネを危惧することはないだろう、だから派遣は解禁したらどうだ、って理屈ですね。
職人の派遣禁止理由は中間搾取だけではないでしょうが、まあ主だった論点がそれだとすれば、標準労務費は法的に担保されるし派遣してもいんじゃないかって、確かにその通りですね。
現在、施工管理は「派遣」も「紹介」もOKですが、職人はどちらも禁止です。前々から言ってますが、これが解禁されれば建設業もかなりの人手不足対策になるはずです。
大手ゼネコンの団体である日建連が、コラムとはいえ長期ビジョンの中で職人派遣の解禁提案をしたのは一つの前進かも知れませんね。