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今あるダムの貯水量を、めちゃくちゃ増やす方法

菅総理が誕生しましたが、菅さんと言って思い出すのは、台風がきた時のダムの話です。今年6月に、こんなニュースがありました。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/38887.html

全国にあるダムの機能を強化して、「八ッ場ダム50個分」の水量を、洪水時にダムで貯水できるようにした、という内容です。八ッ場ダムとは、昨年完成した群馬県にある今世紀最大と言われる巨大なダムです。

既に出来上がっているダムで工事もしないで、どうして八ッ場ダム50個分もの水量を新たに貯水することができるのか?不思議に思いませんか?

国内には、稼働しているダムが1470個ほどありますが、その中には、水力発電や農業用水の利用を目的とした「利水ダム」が、900個ほどあります。残りの570個ほどが、洪水対策などに利用される治水機能を持ったダムです。

なので、実際にあるダム1470個のうち、台風や洪水対策で利用できるのは4割弱の570個ということになります。残りの6割強、900個の利水ダムは洪水対策には役に立っていないのです。

利水ダムは、目的が発電や農業用水であることから、常にそのための水量を確保しておかないといけません。その水量は台風が来た時でさえ、確保したままなんです。 




※国土交通省資料より 

一定の水量を保つということは、入ってきた水量をそのまま放流するってことです。ダムだから、水を貯水するイメージがありますが、ダムにある水量を一定に保って、とにかく入ってきた水を下流に流すだけなんです。利水ダムは、そういうルールになってます。

で、ここに目をつけたのが、菅官房長官です。(というか、普通こんなマニアックなことを政治家は知りませんから、実際には国土交通省の幹部ですが)

一般の治水ダムは、台風に備えて数日前からダムの貯水量を下げていますが(事前放流)、利水ダムは発電や農業用水に必要な水量を確保しておくため、事前放流はしていませんでした。そこを、やらせるようにしたのです。
 



※国土交通省資料より

利水ダムは、発電が経済産業省、農業用水は農林水産省と所管する省庁が分かれていて、まさに「縦割行政」、これまでは調整するのもなかなか困難でした。それを、菅官房長官が一気にまとめあげて、事前放流をさせることになったんです。

いまあるダムで、洪水対策の貯水量を増やす、その仕組みはこんな事でした。
ダム管理技士の資格をとった岩井がザックリ解説してみました。

(ダムのしくみ/国土交通省)
https://www.cgr.mlit.go.jp/yamaguchi/river/pdf/about_dam.pdf


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