2025年9月9日(火)配信
いま、建設業の人手不足はスーパーゼネコンも例外ではありません。
大手ゼネコンの職員は全国転勤が基本ですが、それでは今どきの若者を採用できないということで、最近はいわゆる「地域限定社員」での採用を取り入れる会社が多くなっています。
今回は大林組のケースを例にとりながら、スーパーゼネコンの地域限定社員の採用がどんな感じになっているのか書いてみたいと思います。
こちらがスーパーゼネコン大林組の地域限定社員(ここでは拠点型職員と言ってます)の新卒初任給を示した表です。
▶スーパーゼネコン大林組の新卒初任給(全国型・拠点型)
https://www.rise-jms.jp/media/kensetsu_news/a1334見てわかる通り、従来の全国転勤型の社員給与を100%とすると、拠点型(地域限定社員)はその1割から2割低い金額となっていて、
東京・横浜などで10%減、
大阪・名古屋などが12%減、
九州で15%減、
東北・広島が17%減、
札幌・四国などが20%減です。
大林組では、
「拠点型職員の給与については生活拠点が定まることによるメリット及び地域ごとの生計費等の地域差指数を勘案して拠点ごとに定めている」
としていますが、まあ要するに、全国を飛び回らなければならない社員と地域限定で働く社員の給与を同じにはできないってことでしょう、当然ですね。
また、
・「全国型職員」「拠点型職員」いずれにおいても大林組における基幹業務を担当することに変わりありません。
・「全国型」「拠点型」のどちらも、担当する職務内容や求められる資質、昇進などの差異はありません。
と平等性を説いてますが、実態として拠点型職員の入社後のキャリアパスは(物理的な事は勿論のこと)かなり限定されるので、普通に考えて拠点型職員が全国型職員のキャリアパスの上をいくことは難しいでしょう。
では、拠点型職員は毎年どれくらい採用されているのでしょうか?実は大林組の拠点型職員の採用数は多くありません、こちらがそのデータです。
▶スーパーゼネコン大林組の採用実績(全国型・拠点型)
https://www.rise-jms.jp/media/kensetsu_news/a1335理系は全体で300名を超える採用数のうち、拠点型職員は数名だけです。明らかに少ないですよね。会社が意図的・計画的に採用を絞っているのかも知れませんが、そもそも採用できていない可能性もあります。
拠点型で給与が一番低い「札幌・北陸・四国」エリアでは4大卒で24万円、この額で更に入社後のキャリアパスも限定される。これだと同等の給与が出て入社後のキャリアパスにも希望がもてる地場ゼネコンを選択する学生は多いかも知れません。
建設業の人手不足は年々加速していますが、スーパーゼネコンでさえ、あの手この手の採用をやっていかないと苦しい状況のようですね。