#046 いくら手戻りさせてもタダ?

カテゴリ
建設企業向けメールマガジン 
タグ

株式会社ライズ

B!
2024年5月13日(月)配信


鉄工所などの業界団体である全国鐵構工業協会が、
工事における「鉄骨製作図」の作成に関して、国土交通省やゼネコン団体に
要望を出しています。


「鉄骨製作図問題の是正・解消に向けた要望書」というものですが、
何となくどんな内容か察しがつきますね。


「製作図」ですから、平たく言えば施工図みたいなもんです。
きっと何度も何度も変更があるんでしょうね。


団体が言うには、


「鉄骨製作図の段階であれば、いくら手戻りさせても構わないという誤った
風潮」


が建設業界にあるそうです。
ま、鉄骨製作図に限らず設計図面以外の図面変更の曖昧さはよくありますね。


団体の要望書にある具体的なトラブルを紹介すると(要約)、


▶製作図段階で当初設計の原形を留めないほどの追加・変更が指示される。

▶鉄骨の重量を減らすよう、何度も検討や製作図の修正をさせられた上に
 鉄骨重量が減ったことで値引きを強要された。

▶設備に伴う変更が多い。(設計者・監理者の認識が軽いのでは?)

▶製作図提出後、構造図が3回変更され2カ月分の作業が無駄になった。

▶意匠図と構造図の整合がなく構造や納まりの変更が多発している。


などなど、たくさんの事例が記載されています。
要するに、鉄骨製作図については度重なる変更があるにもかかわらず、
その変更に関わる手間や期間、人権費等を含めた経費は何もみてくれない、
どうにかして欲しい、というそんな要望です。


ただ、どうでしょう、こういうトラブルや問題って別に今始まったことではなく、
ずっと以前からあったはずです。なぜ今のタイミングで要望を出したのか。


団体の専務理事がこう言っています。
「建設業に時間外労働上限規制が適用され、一緒に解決に向かえる良い
タイミングが来たのではないか」と。


そうなんです、結局は今年から始まった残業規制に絡めて要望を出したんです。
もともと、国や大手ゼネコン団体になんて要望を出しにくいでしょうし、
まあ普段なら「分かりました」とだけ言われ流されてしまうでしょうね。


でも建設業の残業規制に絡めて言えば、ニュースにもなるし相手も聞く耳を
持たなければならなくなる。このタイミングだ!って思ったんでしょうね。


クレーン団体、ポン車団体等に続いて、鉄骨団体も時期を逸せず要望したって
ことでしょう。
建設業の残業規制は、ホントいろんな課題や問題をあぶりだしてくれます。


建設企業向け ✉️ メールマガジンは、
建設の時事ネタを中心にニッチな情報をお届けしています。

以下フォームよりお申し込みいただければ、
ほぼ隔週で最新のメールマガジンをお送りします。

▶ https://www.rise-jms.jp/mailmagazine_form.html

関連記事

#071 若者を採用するならエージェント!

2025年6月3日(火)配信いま、就職や転職をする人の多くが「エージェント」を使っていることを知ってますか?まずはこちらのデータをご覧ください。▶仕事探しはエージェントの時代https://www.r...

#070 残業上限「緩和」の声ひろがる!

2025年5月20日(火)配信群馬県建設業協会が、会員企業のアンケート結果を受け「建設業の残業上限の緩和」を求めていると以前書きましたが、その声が広まっているようです。3月14日の衆院国土交通委員会で...

#069 設計変更、大学教授が事前チェック!

2025年5月8日(木)配信国土交通省が、工事の設計変更について「第三者」を入れてチェックする事にしたみたいですね。「設計変更過程の透明性を確保するため、変更前に国交省と業者以外の第三者に適正性をチェ...

#068 建設業の「口頭契約」トラブル多いです!

2025年4月23日(水)配信建設業は、文書を交わさない「口頭契約」が未だ多いようですね。軽微で急ぎなものはともかく、そこそこ金額が大きくなっても口頭契約で済ませるさまは、他業界から見れば違和感しかな...

#067 職人の賃金は国が確認します!

2025年4月9日(水)配信国土交通省が、建設業で働く職人の賃金を直接確認する作業を始めるみたいですね。国交省は職人の賃金の「見える化」をするために、今年度(2025年度)各地方整備局で試行工事を始め...

#066 職人の退職金1000万になります。

2025年3月18日(火)配信建設業の職人は、「現場で肉体労働をする割に待遇が良くないので若者に敬遠されがち」と言われてきました。若者の入職が少ないから高齢化と超人手不足がどんどん進んでしまう、国や業...